今日まで、そして明日から

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ものづくりに戦いという側面を感じることがあります。それは作り手にとって、肥大する自意識への抵抗や社会からの無理解に対する葛藤、また現状と理想との差異に直面した場合の失望などなど割とありふれたものであるわけなのですが、その時の意識的にはけっこう頑張って、「見えない敵」とのシャドーボクシングを繰り広げてきたなあとちょっと振り返っても思ってしまうわけで

世間的にどう思われているかは分かりませんが、ぼくはこれまでの人生を遠回りばかりしてきた人間です。なんなら今現在でさえ、脇道にそれている真っ最中なのかもしれません。それを確認するすべはありませんが、こうなってしまったのも、意固地に教わろうとしなかったことに原因があるのでしょう。高校生の頃に、友人と見上げたあの星空の美しさを。この世に無数に存在する、論理も含めた数々の素晴らしいものを。人に教わるのではなく、自分で見つけることにこだわってしまったんです。そうするべきだと、いつしか自身の心を加工してしまったのです

それが正しいことかは分かりませんし、分析しようとも思いません。ただ一つ言えるのは、そうやって遠回りをしてきた分、少なくとも自分が近道を行く人よりたくさんの景色を見てきたということです。それはおどろおどろしいものであったり、涙が流れるような美しいものであったり、誰かが無駄と定義するものであったり、はたまた腹を抱えて笑ってしまうようなものだったりと、たくさんの物語の小さな断片でした

汚いものを見たから、本当に美しいものを認識することが出来ました。他人と触れ合って、初めて自分を定義することが出来ました。探し物は、自分の内世界ではなく、実はドアの外にありました! そんな当たり前のことすら知らないほど、始まりのぼくは小さな小さな人間だったのです

まだまだ途中ではありますが、一応10年ちょい。まあキリよく10年として、イラストを含めたものづくりのキャリアがそれだけ無駄に溜まってきたことと、そろそろ30歳になっちゃう!(※もうなりました)という危機感のもと、20代までの阿鼻叫喚を自分でしっかりと理解するために、それを一度文章にまとめる作業に入ったのが確か、一昨年の秋~冬くらいで

どう転んのだか。どういう道筋を歩いたのか。上記は今、物語に形を変えて世に放たれようとしています(※前置きが長いので、読まなくていい部分を切り取り線で囲っておきました)

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小説を書きました。講談社より刊行されます、処女作「COLORS」(著作・装画・装幀・挿絵 : カスヤ ナガト)。ものづくりをテーマにした、主人公であるイラストレーター北崎琢磨の「再発見」の物語
伝えるために、勿論自身の力だけでなく、人様のご尽力も頂きようやく一つの青春小説にまとめることが出来ました。発売は7月26日になります
※初版本には特製CMYKしおりがランダムで1枚つきます。本に挟めば、色ガラスのように光る綺麗なしおりです

この本を書くことで、ぼくは少しだけ前に進むことが出来ました。世界にたった一人でも。誰かの本棚のお気に入りのスペースにこの本が置かれたら、それこそ無上の幸せです

どっとはらい。どうぞよしなに